
現在、CATIAの開発元であるDassault Systèmes社では、3DEXPERIENCE CATIA on Cloud上で、AIを単なるチャットツールではなく、設計業務そのものを支援する技術として活用する取り組みを進めています。今回は、CATIA AIが目指す方向性と、今後の設計現場にどのような変化をもたらす可能性があるのかをご紹介します。

最近はAIの話をよく聞きますが、設計業務でAIをどう使うのか、いまひとつピンときません。

そのようなお声はよく伺います。一般的な生成AIは文章や画像の生成が得意ですが、設計業務で求められるのはそれだけではありません。
設計では、以下のような情報を踏まえて判断する必要があります。
- 材料特性
- 物理法則
- 製造条件
- 設計ノウハウ、経験
CATIA AIが目指しているのは、こうした情報や知見を活用しながら、設計者の判断を支援する仕組みです。


なるほど。では、具体的には、どんな業務で活用できそうなのでしょうか?

現在注目されているのは、大きく3つの領域です。
[CATIA AIが注目する3つの領域]:
① 形状案の生成
② 設計検証・変更への対応
③ 過去の設計資産の活用

① 形状案の生成

従来は、設計者が経験や知識をもとに形状を検討し、モデルを作成した後、解析や評価を行う流れが一般的でした。
CATIA AIでは、設計条件や制約条件をもとに複数の形状案を生成し、その中から設計者が最適な案を選択するアプローチが期待されています。

設計者がゼロから描くのではなく、候補から選ぶイメージですね。

そうです。設計者は「形を描く作業」だけでなく、「評価し判断する作業」により多くの時間を使えるようになります。
② 設計検証・変更への対応

実際の現場では、設計変更対応が大変なんです。

そうですね。開発現場で時間がかかるのは、最初の設計よりも変更対応であるケースが少なくありません。
CATIA AIでは、以下のような設計業務を支援し、設計変更による影響や、後工程で問題になりそうな点を早い段階で確認できるようになることが期待されています。
- モジュール設計の支援
- CATIA AIが過去の設計データから類似するモジュールや設計パターンを見つけ、再利用を支援する
- 設計変更時の追従性の確認
- CATIA AIが設計変更による関連部品や3D形状への影響を確認する
- 公差設定の支援
- CATIA AIが部品の機能や設計条件をもとに、適切な公差設定を支援する

設計段階での判断品質を高め、手戻りを減らすことで、開発期間の短縮や製造・品質の向上につ繋がりますね。
③ 過去の設計資産の活用

ベテランのノウハウ継承も課題になっています。

そうですね。ベテランのノウハウをどのように次の世代へつないでいくかは、多くの企業にとって重要な課題です。過去の設計データや設計判断の理由が個人の経験に依存しているケースは少なくありません。

過去の設計データやベストプラクティスをCATIA AIが参照し、設計者が必要とする場面で、類似する設計事例や適切な操作、設計上の注意点などを提案することが期待されています。

個人の経験を組織の資産として活用できるようになるわけですね。
[CATIA AIが設計者の同僚になる未来]
「CATIAを操作する」から「CATIAに相談する」へ。
「CATIAを操作する」から「CATIAに相談する」へ

CATIA AIというと、「AIが形状を生成する」「設計作業を自動化する」といった機能に目が向きがちです。

そうですね。
でも、Dassault Systèmes社が目指しているのは、それだけでなく、CATIA AIが設計者の”相談相手”になる未来です。

相談相手ですか?

設計業務では、モデリング作業だけでなく、以下のような確認・判断業務にも多くの時間が使われます。
- 「過去に似た設計はなかったかな?」
- ⇒ 過去の設計事例を探す
- 「この変更で他の部品に影響は出ないかな?」
- ⇒ 設計ルールを確認する
- ⇒ ベテラン設計者へ相談する
- 「製造現場から指摘を受けそうな箇所はないかな?」
- ⇒ 製造上の影響を確認する

確かに、CADを操作している時間だけでなく、調べたり確認したりする時間も結構ありますね。

将来的には、設計者が「過去に類似事例はある?」「この設計は社内ルールに合っている?」「製造上の懸念はない?」といった質問を自然な言葉で投げかけると、CATIA AIが設計データや社内ナレッジをもとに、回答や提案をしてくれるようになることが期待されています。

まさに、「CATIAを操作する」から「同僚のようなCATIAと対話しながら設計する」設計環境ですね。

[AI時代の成果を左右するのは、AIが活躍できる環境づくり]
AIが進化したときに大きな成果を生み出すのは、AIを導入した企業ではなく、AIが活躍できる環境を準備できていた企業かもしれません。

AIは、何もないところから企業固有の設計ノウハウを生み出せるわけではありません。過去の設計データや設計判断の理由、製造時の知見など、AIが活用できる「材料」を蓄積しておくことが重要です。

なるほど。そのために重要なのは、AIそのものを導入することではなく、AIが活躍できる「データと知見の環境」を整えておくことですね。
- 設計データを蓄積すること
- 設計意図を残すこと
- 過去の知見を再利用できる状態にすること
- 設計と製造のデータをつなげること

その通りです!

CATIA AIで、これからの設計業務がどのように変わっていくのか、今後の進化にますます期待が膨らみますね。

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